物語の創作ヒント

物語には抑揚が大事!コミック・リリーフをうまく使おう!

2024年1月11日

うーん……なんでだろ……
ショーゴ
ソーサク
どうしたの?ショーゴ君
今書いてる作品、シリアス展開真っ最中なんだけどなんか読者の反応がいまいちなんだよね
ショーゴ
ソーサク
具体的にどんな
えっとねぇ……「なんか疲れた」「ずっとシリアス展開ばっかでしんどい」「ぶっちゃけ飽きた」とか……。うっ、心のない感想が胸に響く
ショーゴ
ソーサク
あー、その原因はあれだね、あれ

 

なぜ読者に飽きられるのか

読者が作品に飽きる理由は多々あります。

・作品の方向性が合わなくなった。
・他の作品を推すようになったから。
・好きなキャラクターが死んだから。

……などなど、いろんな理由があります。

そして他の理由として考えられるのは「作品に疲れた」というのが挙げられます。

作品に疲れるってなに???面白ければ飽きられるなんてないんじゃないの???
ショーゴ

そう思うのは当然です。
しかし「面白い」というのはどういうことなのでしょう。
その「面白い」を間違えた解釈で考えてしまうとあなたの作品から読者は離れていく一方なのです。

 

面白い作品の共通点

面白い作品の共通点、それは「物語の抑揚がある」ことです。

抑揚ってなに?
ショーゴ
ソーサク
わかりやすい例だとホラー作品かな

みなさん、ホラー作品は観ますか?
好きでない方も一度ぐらいはホラー作品に触れたことがあるのではないでしょうか。

人間の常識や力が通じない相手に命を脅かされ翻弄されるキャラクターたち。
ですがよく思い返してください。

作中、幽霊やお化けにず――――――っと脅かされ続ける作品ってありますか?
ほとんどの作品が

→怖い場所に主人公たちが向かう。
→幽霊の脅威にさらされる。
→命からがら逃げて味方と合流もしくは出会う。
→また幽霊の脅威にさらされる。
→仲間たちとの交流や絆を深めるイベント、場合によっては恋愛描写が入る。
→またまた幽霊の脅威にさらされる。
→一発逆転の手段を見つけるもしくは脱出方法を見つける
→幽霊との最終決戦
→勝利もしくは敗北をもって物語は終了。

大体この流れがほとんどでしょう。
ホラー作品の醍醐味が幽霊との対決ならわざわざ仲間との交流などの描写を入れる必要はないのに
なぜそういった描写を入れるのか。

それこそが「物語の抑揚」なのです。

緊迫(幽霊に脅される)
→緩み(仲間との出会い)
→緊迫(幽霊に脅される)
→緩み(仲間との交流)

これらを繰り返すことによって物語に抑揚が生まれます。
これにより幽霊に脅されるシーンは恐怖がより際立つこととなり仲間との交流シーンでは安息の度合いが跳ね上がるのです。

こうして書くと普通のことじゃん、と思われがちですが案外これができていない作品というのは
結構あったりするのです。

 

感情とは鮮度である。

さきほどのホラー作品の流れの話の続きとなりますが
何故ホラー作品は終始幽霊に脅され続ける展開ではないのか
どうして抑揚が必要なのかというところの説明からしましょう。

答えを言ってしまうと「ずっと緊張状態が続くと読者は慣れてしまう」
これに尽きるのです。

人間は良くも悪くも状況に対応して環境に慣れる生き物です。
ずっと緊張したシーンが続くと最初こそ読者はハラハラしますが
それが続くとやがて食傷気味になり肩が凝り始め、読者は慣れ始めてしまうのです。
そして最終的に「飽きた」という状態になります。

いくら好きな食べ物でも同じものを毎日食べ続けたら飽きますよね?
好きなのに何故飽きるのか。それは慣れてしまったから。

感動、恐怖、怒り、哀れみ……これらの感情に人間は慣れてしまう生き物なのです。

人の集中力は個人差はありますがおおよそ40~50分ほど、といわれています。

つまりこの40~50分感、恐怖や戦闘、いちゃらぶ甘々恋愛描写が続くと読者は疲れ飽きてしまうのです。

ホラー作品もずっと恐怖状態が続いて幽霊につかまりバッドエンド、よりは
諦めず必死に逃げ続けようやく脱出の可能性が見え希望が目前にある状態で幽霊に捕まりバッドエンドのほうが
恐怖や絶望が際立つでしょう。

絶望(幽霊に捕まる危機に晒される)
→希望(脱出口が見つかり目の前まで到達)
→絶望(脱出直前に幽霊に捕まってしまった)のほうが二度目の絶望が新鮮で読者の記憶に残りやすいのです。

折れ線グラフのような緩急があるからこそ読者を魅了する物語が生み出せるのです。

 

ソーサク
ショーゴ君の作品の読者さんたちは作品に抑揚がなかったから飽きちゃったんだね……
理由はなんとなくわかったけど……抑揚つけるって言っても簡単につけれないよぉ
ショーゴ

 

抑揚をつけるためにはこのキャラクターを用意すればOK!

物語の抑揚をつけるために最も適したキャラクター。
それは「お調子者キャラ」です。

ぅえ!?お調子者キャラ!?
ショーゴ

どんな作品にもいるお調子者キャラ。
いわゆる愛すべきバカ。
物語の抑揚をつけるにはこの愛すべきバカが必要なのです。

まじめな話ばかりが続くと読者は飽きてしまいます。
そしてあまりにも深刻な雰囲気が続くと読者はやはり疲れます。

そういった雰囲気を和らげるためにお調子者キャラは必要なのです。
こういった役割を持つキャラクターや展開を「コミック・リリーフ」と言います。

これはれっきとした物語を作る上での手法なのです。

読者に「このキャラまたアホなことやってるよ(笑)」と思われるのは実は大きな意味があります。
とぼけた会話やぶっとんだギャグ、へんてこなシーンを挟むことによって
読者の緊張をほぐす役回りを彼ら愛すべきバカたちは担っているのです。

<コミック・リリーフを担ってるキャラクター>

・うずまきナルト(NARUTO)

・ロック・リー(同上)

・ウソップ(ONE PIECE)

・白石由竹(ゴールデンカムイ)

・ギップル(魔法陣グルグル)

・キタキタおやじ(同上)

・坂田銀時(銀魂)

・桂小太郎(同上)

・カタリナ・クラエス(乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…)

・真島吾朗(龍が如くシリーズ)

・ドルイット子爵(黒執事)

・うっかり八兵衛(水戸黄門)

・コエンマ(幽☆遊☆白書)

ここに載せているキャラクターはほんの一例です。
一度あなたが愛読している作品にも登場しているか探してみましょう。
今まで単なるギャグ要因だと思っていたキャラクターが実は物語の上で
重要な役を担っていたとなると見方が変わるかもしれませんね。

 

コミック・リリーフは諸刃の剣?

物語に抑揚をつける手法、コミック・リリーフ。
しかし扱いを間違えば読者の失笑を買うことにもなります。

扱いには気を付けないといけない手法なんだね……
ショーゴ

空気の読めない発言や展開を挟むと読者の緊張をほぐすのではなく白けさせてしまう恐れがあります。

真面目な空気の中、主人公がつまらないボケをかまして

「もーっ、私ってばドジ☆テヘペロ☆」

なんて一人でノリツッコミをやっても読者は白け陳腐に考えるでしょう。

コミック・リリーフを使うにはタイミングと尺度をわきまえて使う必要があります。
また性格上、どうしてもコミック・リリーフに適していないキャラクターはいます。
そういったキャラクターに無理やりコミック・リリーフをやらせてしまうと
キャラ崩壊を招き読者の失望を買う結末にもなりかねません。

じゃあどうすればいいの?
ショーゴ
ソーサク
対策としてはこれぐらいかな

 

・主人公にコミック・リリーフの役割は基本的にさせない。(状況次第ではさせても可能)

・お調子者キャラにしても違和感がない三枚目キャラをあらかじめ用意しておく。

・度を越えた尺を使わない。

・タイミングを間違えない。

 

ソーサク
気を付ける点はあるけどコミック・リリーフを使いこなせるようになると物語の抑揚がぐっと良くなるよ!

 

まとめ

・物語は折れ線グラフのように緩急をつけよう!
・お調子キャラを用意してコミック・リリーフを用いよう!
・コミック・リリーフを使うのなら扱いは注意が必要!

いかがでしょうか。
何気なく見ていた作品にでてくるお調子者キャラたちは実は大きな役割を担っています。
あなたの作品に活かす何かが彼らにはあります。
一度愛読している作品を改めて見つめなおしてはいかがでしょうか。

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