小説

キャラの心情は直球で書くな?心情描写の書き方

2024年1月4日

小説を書く上でキャラクターの心理描写は欠かせません。
「好き」「嫌い」「美しい」「怖い」「悲しい」「怒り」などなど、いろんな感情がキャラクターの中には渦巻いています。
しかしそれをそのまま書いても読者には響きません。

好きは好き以外に例えようがなくない?
ショーゴ
ソーサク
そんなことないよ。じゃあ今回は心理描写について語ろうか

表現方法について

感情の表現はどういうのがある?

はっきり言って正解はありません。
人の感性は個によって違うように、表現も何通りもあります。
どれがあなたの作品に適しているかはあなた自身が判断しなければなりません。
そのためには多くの作品に触れ学ぶことが大切です。

触れて真似て、自分の型をつくり自分のものになる。
それの繰り返しです。
この記事ではそんな数多ある表現方法の一つを提示します。

 

「好き」の表現はどうするべき?

さっそくですが、皆さんは「好き」という表現はどのように書いてますか。
恋愛的な意味での好き、友人としての好き、家族としての好き。
「好き」という感情だけでもこんなに違いがあります。

ソーサク
じゃあショーゴ君、書いてみようか!
ショーゴ
はい!

<主人公がヒロインを好きになったシーン(ショーゴ作)>

「私は君のそういうところ嫌いじゃないよ」

彼女は夕日を背後に綺麗な笑顔を俺に向けている。
その光景があまりに綺麗で、彼女のことが好きになった。

できたよどう?
ショーゴ
ソーサク
うん、ド直球だね
褒められてないことだけはわかった
ショーゴ

時にはド直球な描写が好まれることはあります。
しかしこのシーンは主人公がヒロインに恋をする非常に重要なシーンです。
一人の人間の感情を変える極めて大切な場面。
物語の今後に大きく左右するシーンになることもあります。
だからこそいかにヒロインが主人公の心に響き特別な存在に至ったのかを書く必要があるのです。

<主人公がヒロインを好きになったシーン手直しver(パターン1)>

「私は君のそういうところ嫌いじゃないよ」

俺たち以外いない帰り道の中。
風ひとつ吹いていない中、彼女の声がやけに響いた。
優しく照らす夕日がいつも通り穏やかな笑みを浮かべる彼女を彩っている。
見慣れたはずの笑顔がひときわ輝いて見えた。
俺の胸の中で脈打つ鼓動が早くなり耳に響く。心臓の音がうるさい。
変化した俺の世界を自覚する。大きな選択を選び終えた確かな感覚。

彼女を愛おしいと思ったこの瞬間を、俺は生涯忘れないだろう。

 

<主人公がヒロインを好きになったシーン手直しver(パターン2)>

「私は君のそういうところ嫌いじゃないよ」

沈む夕日。二人きりの帰り道。
鈴のような声が耳に響く。声音に導かれ彼は顔を向ける。
夜を誘う柔らかな夕暮れが彼女を照らし祝福を与えていた。
自分しか見ていないその光景に彼は思わず心を奪われる。
どきり、と胸が高鳴るのを自覚して顔に出すまいと平常心を念じる。
しかし意識すればするほど胸の高鳴りは収まるどころかさらに加速した。
ああ、と彼は心の中で降参する。理解した。納得した。

目の前の少女を、この世の誰よりも愛おしいと感じた己の心を静かに受け入れた。

 

おぉ……主人公の中でヒロインが特別になった感がひしひしと伝わる……
ショーゴ
ソーサク
いかに主人公が抱いた恋の特別感を読者に示すか。それがポイントだね

 

「嫉妬」の表現はどうするべき?

恋愛描写がある作品にはほぼ必ず嫉妬を抱くキャラクターは存在します。
恋愛に限らず優秀な主人公を妬むライバル、家柄の格差からくる劣等感も嫉妬と言えるでしょう。
キャラクターの負の内情を表に出す描写のためあっさり書かずしっかり書ききることでキャラクターの解析度がより高くなります。

ソーサク
よしショーゴ君!次は恋愛がらみの嫉妬シーンを書こうか!
よーし!次こそは!
ショーゴ

<主人公に想いを寄せる少女がヒロインに嫉妬するシーン(ショーゴ作)>

「彩香のことは大事な友人だ。でも浩子のことは大切な女の子なんだよ」

ずきり、と胸が痛む。
夕日が差し込む教室に拓也君と浩子ちゃんがいた。
私は二人から隠れるように教室の外の死角に隠れている。
拓也君が浩子ちゃんに向けた愛の言葉を思い出して思わずぐっと唇をかんだ。
いや、どうして。どうして、そんな顔をするの。そんな言葉、言わないで。

 

どう!?さっきよりは心情を表に出してると思うんだ!
ショーゴ
ソーサク
うん、そうだね。でももう少し手直しを加えるともっと良くなるよ

 

<主人公に想いを寄せる少女がヒロインに嫉妬するシーン手直しver>

「彩香のことは大事な友人だ。でも浩子のことは大切な女の子なんだよ」

拓也君はあまりにもまっすぐな瞳で浩子ちゃんを見つめていた。
私は外野の存在だと言わんばかりに二人がいる教室の死角からその光景を見つめている。
私は彼とは近しい存在だったはずだ。それは決して間違いじゃない。
なのに今、私と彼には決して越えられない壁が存在していた。隔てられた壁の向こう側には拓也君と浩子ちゃんが当然のように一緒にいる。
疎外感がぬぐい切れない。

二人だけの世界をただ隠れながら見つめ続ける。はらはらと瞳から熱いものが零れ落ちてきた。
自覚するたびにぎりぎりと容赦なく責め立てるように胸が痛みだす。
心臓の音がうるさい。自分の心臓がこんなに力強い鼓動を打つなんて知らなかった。
知らなかった、こんな感情。

制御できないものがこみあげてきて声に出てしまいそうなのを必死に抑え込む。

「……どうして……」

渦巻く激しい感情が身体を支配する、なのに口から出てくるものはその言葉だけ。
だからこそ私は心の中で怨嗟をつぶやき続けた。

―――――どうして、あなたがそっちにいるの。
どうして、私はそこにいないの。

 

少女のヒロインへの羨望と嫉妬が伝わってきたかも!
ショーゴ
ソーサク
どこまでも自分は想い人の蚊帳の外、っていうのを意識して書くといい感じになるよ!

 

まとめ

・表現方法に正解はない
・色んな作品に触れて学ぶべし!
・感情は直球で書かない方が読者に響きやすくなる。

心情描写はとにかく色んな作品に触れて学ぶのが一番の方法です。
文面でしか読者は読み取ることができないからこそ描写はしっかり書く必要があります。
どうすれば一番伝わるのか、しっかり考えて作品作りをがんばりましょう。

 

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